フェラーリ365GTB(デイトナ)


フェラーリ365GTB/4、通称「デイトナ」は、フェラーリの歴史において伝説的な一台として知られるFR(フロントエンジン・リア駆動)のグランツーリスモです。その魅力と特徴を以下に説明します。

1. 「デイトナ」の由来 この車の正式名称は「365GTB/4」であり、「デイトナ」は通称です。この愛称は、1967年のデイトナ24時間レースで、フェラーリのスポーツプロトタイプ「330P4」と「412P」が1-2-3フィニッシュという圧倒的な勝利を収めたことを称え、メディアが付けたものと言われています。この非公式なネーミングが広く浸透し、今では正式名称よりも「デイトナ」と呼ばれることが一般的です。

2. デザイン

  • ピニンファリーナの傑作: ピニンファリーナが手がけたそのデザインは、全長4425mm、全幅1760mm、全高1245mm、ホイールベース2400mmという絶妙なバランスで、シャープなウェッジシェイプが特徴です。長く、広く、シャークノーズのように迫力に満ちたフロントエンドは、この車のトレードマークとなっています。
  • ヘッドライトの変遷: 初期型(1968年~1971年)は、プレキシガラス(透明なアクリル樹脂)製カバーの奥に4灯式ヘッドランプがセットされていました。このカバーはサイドまで回り込み、車幅灯やウインカーと一体化していました。しかし、1971年以降は北米の安全基準に対応するため、リトラクタブル式(格納式)ヘッドライトに変更されました。
  • エレガントなサイドライン: サイドラインはエレガントに後方へ流れ、装飾的な要素は最小限に抑えられています。フロントフェンダーとリアフェンダーの間には、力強いキャラクターラインが走っています。

3. エンジンとパフォーマンス

  • V型12気筒DOHCエンジン: 275GTB/4の後継として、排気量を拡大した水冷V型12気筒DOHC 4,390.3ccのエンジン(Tipo 251)を搭載しています。これはコロンボユニットの流れを汲むもので、ドライサンプ潤滑方式が採用されています。
  • 圧倒的なパワー: 最高出力は352ps/7500rpm、最大トルクは44.0kgm/5500rpmを発生し、最高速度は280km/hに達しました。0-100km/h加速は約5.2秒と、当時の最速クラスの性能を誇りました。
  • トランスアクスル方式: 5速MTはエンジンの後方に配置され、トランスアクスル方式により後輪を駆動します。これにより、前後の重量配分が最適化され、優れた運動性能を実現しています。

4. 歴史的意義

  • FRフェラーリの究極: 365GTB/4デイトナは、V12エンジンをフロントに搭載し、後輪を駆動するというフェラーリ創業以来の伝統を受け継ぐベルリネッタ(クーペ)の究極的な一台とされています。
  • エンツォ・フェラーリ時代の集大成: 創業者エンツォ・フェラーリが指揮を執っていた時代の最後のFR V12モデルであり、その後のミッドシップモデルへの移行を考えると、フェラーリの歴史における重要な節目に位置するモデルです。
  • レースでの活躍: 市販モデルでありながら、FIA GTのホモロゲーションを取得し、1972年から1974年までル・マン24時間耐久レースのGTクラスで3年連続優勝を飾りました。さらに、生産終了から6年後の1979年のデイトナ24時間レースでは、最新のマシンに伍して総合2位に入賞するという驚くべき記録を残しています。

5. 生産台数と希少性 1968年から1973年までの生産期間で、クーペ(ベルリネッタ)が1284台、オープンモデルのGTS/4(スパイダー)が122台製造されました。特にスパイダーは希少性が高く、コレクターズアイテムとしても非常に人気があります。

フェラーリ365GTB/4デイトナは、その美しいデザイン、パワフルなV12エンジン、そしてモータースポーツでの輝かしい実績により、今もなお世界中のエンスージアストを魅了し続ける名車です。




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