デロリアン



デロリアン(DeLorean)について
デロリアンは、自動車メーカーである**デロリアン・モーター・カンパニー(DMC)**が製造した唯一の自動車、DMC-12を指すのが一般的です。その特徴的なデザインと、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズへの登場によって、世界的に有名になりました。
主な特徴
- ガルウィングドア: 最大の視覚的な特徴は、上方に開くガルウィングドアです。これは当時の自動車としては非常に珍しいものでした。
- ステンレススチール製ボディ: ボディパネルには塗装されていないステンレススチールが採用されており、独特の光沢を放ちます。この素材は傷がつきにくく、錆びにくいという利点がありましたが、一方で修理が難しいという側面もありました。
- リアエンジン・リアドライブ: エンジンは車体後部に搭載され、後輪を駆動します。搭載されたエンジンはプジョー、ルノー、ボルボが共同開発したPRV V6エンジンでした。
- デザイン: ジョルジェット・ジウジアーロ率いるイタルデザインが手がけた、シャープで未来的なデザインが特徴です。
歴史と背景
DMC-12は、元GMの副社長であったジョン・デロリアンが「倫理的な車」をコンセプトに理想の車を追求して設立したデロリアン・モーター・カンパニーによって1981年から1982年にかけて生産されました。しかし、会社の財政問題やジョン・デロリアンの個人的なトラブル(後に無罪となる)などにより、短命に終わりました。生産台数は約9,000台と言われています。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』との関係
デロリアンを一躍有名にしたのは、1985年に公開されたSF映画**『バック・トゥ・ザ・フューチャー』**です。この映画では、デロリアンがタイムマシンとして改造され、主人公のマーティ・マクフライとドクことエメット・ブラウン博士が時空を超えて冒険を繰り広げる姿が描かれました。映画の象徴的な存在となり、デロリアンは単なる車以上の文化的アイコンとしての地位を確立しました。
現在のデロリアン
デロリアン・モーター・カンパニーは倒産しましたが、現在はテキサス州に拠点を置く別の企業が「デロリアン・モーター・カンパニー」の名称と商標権を取得し、既存のDMC-12のパーツ供給やレストア、さらには電気自動車としてのDMC-12の復刻計画なども進めていると報じられています。
デロリアンは、その独特なデザインと映画での活躍により、今もなお世界中の自動車愛好家や映画ファンを魅了し続けています
デロリアンDMC-12の主要な寸法と仕様は以下の通りです。
【寸法】
- 全長: 4267 mm
- 全幅: 1988 mm (資料によっては1990mm)
- 全高: 1140 mm
- ホイールベース: 2408 mm
- トレッド(前): 1590 mm
- トレッド(後): 1588 mm
【重量】
- 車両重量: 1233 kg (資料によっては1244kg)
【エンジン・性能】
- エンジン型式: PRV ZMJ-159型 (ライトアロイ90度V型6気筒SOHCチェーン駆動)
- 総排気量: 2849 cm³
- 最高出力: 97 kW / 130 HP / 5500 rpm (130馬力)
- 最大トルク: 230 Nm (情報によっては記載なし)
- 駆動方式: RR (リアエンジン・リアドライブ)
- トランスミッション: 5速マニュアルトランスミッション (約7割) または 3速オートマチックトランスミッション (約3割)
- 0-100km/h加速: 11秒 (オリジナルモデル)
- 最高速度: 約155マイル (約249 km/h) とされる情報もありますが、これはカスタムモデルの可能性があり、オリジナルの最高速度は通常200km/h未満とされます。
- 燃料タンク容量: 51 L
- 燃費: 約10 km/L (目安)
【その他】
- ボディ: ステンレス製
- 生産台数: 約9000台
- 生産期間: わずか2年間 (短命でした)
- 特徴: ガルウィングドア、無塗装ステンレスボディ
【補足】 「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に登場するタイムマシンのデロリアンは、上記のDMC-12をベースに「次元転移装置(フラックス・キャパシター)」などの特殊な装置が取り付けられています。映画に登場する「次元転移装置」は、Y字型に光る3本のチューブで構成されています。
また、近年ではEV(電気自動車)としてデロリアンの復活も発表されており、そちらは大幅に性能が向上しています(例:0-96km/h加速2.99秒、最高速250km/h(リミッター作動)など)。
